台湾・台北市の中心部に「林森北路(リンシンペールー)」という繁華街があります。
東京でいったら、新宿の歌舞伎町といったところでしょうか。大きなホテルやデパートが立ち並んでいる通りは現地の若者や観光客でいつも混雑しているのですが、一歩裏に入ると途端に辺りが一変して怪しげな雰囲気になってきます。その一角に裸電球が付いているだけのさびれた工場のような建物があります。監視カメラの前に立った私の友人の陳さんが大きな鉄製のドアを2,3度ノックすると、重そうなドアがガシャという不気味な音と共に開き、いかにも台北のヤクザといったオッさんが笑顔で我々を迎えてくれました。彼の後をついて行くと、さらに奥のドアが開かれ、そこには眩しいばかりの照明のもと所狭しとブランド品が並べられていました。ついに我々は台湾マフィア(?)の経営するコピーブランド品屋さんに潜入することが出来たのです。かれ頃、15年ぐらい前の話ですが、そこではロレックス・オイスター(約70万円)が3千円ぐらいで売られていました。でも、安いからといって決して馬鹿にできませんよ。
1年程度なら狂うことはありませんし素人が見ても、違いがわからないほど精密にできていますから。折から店内には数名の日本人観光客が偽ブランド品を物色していました。それを見た友人の陳さんが私に耳打ちしました。
陳さん:「アノ ヒトタチ ダマサレル アブナイネ!」
私:「どうして?」
陳さん:「ナニカ カウマデ ミセデラレナイ。」
私:「エッ? 私達ドウナルカ?」
陳さん:「ワタシタチ ダイジョウブ! ココノオヤブン トモダチ!」
間もなく、日本人観光客の前に「やり手婆ぁ」のようなオバさんが出てきました。
(次回に続く)
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