気配り

殆んどの人は歯医者へ行く前に歯を磨いていくと思いますが床屋さんの場合はどうですか?

数十年前、私がサラリーマンになりたての、まだまだ初々しい頃の話です。

出張先での仕事が早めに終わったので、同行の先輩と一緒に床屋へ行ってさっぱりしようということになりました。

すると、その先輩「ホテルへ戻って風呂に入ってから行こう!」というのです。

私はこれから床屋さんで洗って貰えばいいやと思っていたので何故かなと思っていたのですが、先輩が私にこう言いました。

「俺たちの頭は床屋さんの顔の真ん前にあるんだから臭いがしたら失礼だろ!歯医者に行く前に歯磨きするのと同じだよ!

確かにそうですよね。いくら商売とはいえ臭い頭を洗うのは床屋さんだって嫌なはすです。

さらに続けて、「男はうわべのお洒落だけでなく、見えないところに気を遣えよ!」とも言ってくれたのです。これを聞いて、まさに目からウロコガ落ちる思いでした。

ポールスミスのスーツを着てフェラガモの靴を履いていても穴の空いた靴下を履いていたら本当のお洒落とはいえませんからね。

以来私は身に付ける物には常に気を遣うようになりました。

そして、相手に対し気配りのできる人間になりたいと心掛けてきたつもりです。

でも、どこまで出来ているのでしょうか?

気配りをしているつもりでも、自分の価値観と相手の価値観の線引きが出来ていなければ、親切が押し付けがましくなってしまうこともありますし、また、相手の望む方向と異なればそれは単なるお節介ですからね。

気配りひとつするにもなかなか難しいものです。

まだまだ私には修行が必要なようですね。