ある光景

先日血圧の薬を貰いにE先生の所へ行った時の事です。

その待合室で何とも微笑ましい光景を目にしました。

20代半ば過ぎの若いお母さんが娘を膝に抱いて、本を読んで聞かせていたのです。

もちろん話の内容はこちらからでは分りませんが、興味津々と母親を見つめる娘の顔はまぶしいほど輝いて見えました。

子供をゲームやテレビで遊ばせるだけで放ったらしにしている同世代の母親連中に見せてやりたいくらいでした。

小さい頃から本を読んで聞かせる、または本を読ませるというのは、情操教育にはもってこいだと思うのですが、最近は親の方が活字離れをしているわけですから、所詮子供に求めるのは無理な相談というものです。

傍から見ればごく当たり前の光景かも知れませんが、私にはこの親子の間に交わされた強い絆を感じることが出来ました。

昨今増加の一途を辿っている親が我が子を殺める、また子が実の親を殺めるといった理解不能な凶悪犯罪の当事者には、この様な絆が芽生えることは決してなかったのでしょうね。

母親の話に聞き入っていたこの女の子が大きくなった時にはきっと素敵なお嬢さんになっているに違いありません。