上には上が

パソコン講習会を担当していると時には大変ユニークな方が現れるものです。

身障者クラスのNさんという男性はいつも大ぶりのボストンバッグを持って教室に来るのですが、先日その中身を見せて貰いました。

すると、その中には今流行りのiPadから始まり、携帯用カーナビ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ICレコーダー、大量のクレジットカードとポイントカード、おまけに何故か「EXILE」の写真の入ったクリアファイルが数十枚入っているのです。

万が一職務質問にでもあったら、一体どう説明するのでしょうかね?

そして、Nさんの腕にしている時計が一見豪華に見えたので尋ねたところ、ヨーロッパにある取引先の社長からプレゼントされたもので世界で10個しか生産されていない超高級時計だというのです。「幾らすると思いますか?」と聞かれましたので、冗談半分に「300万?」と答えたところ、憤然とした口調で「3000万ですよ!」と怒られてしまいました。

更に、財布から名刺を取り出して彼の経営する会社の説明を始めました。

それによると、Nさんの会社は高級外車の輸入販売を行っており、川崎にある展示場にはフェラーリやランボルギーニが常に23台置いてあるというのです。

首を傾げる私に,Nさんはご丁寧にも自社のホームページまで見せてくれたのです。

当初は全く信用していなかった私ですが、ホームページを見ながら淡々とした口調で説明されるとまんざら嘘ではないような気がしてきてしまいました。

どうしても気になりますから帰りがけに施設の係員に聞きに行ったのです。

すると、係の方は何回も質問されているのか、慣れた口調で「また始まりましたか? あのホームページはまったく関係ない会社で、名刺は彼が勝手に作ったものです。時計は韓国旅行で買ってきたまがい物で3千円と言っていました。」というではありませんか?

3千円が3千万円とはねぇ? 

虚言癖には相当の自信を持っている私を手玉に取るとは実にお見事!

上には上がいるものですね。今度ばかりは一本取られてしまいました。